気象庁と国土交通省は6月18日、大雨と氾濫(河川)、土砂災害、高潮の4種類の防災気象情報について、レベル5を最大とする警戒レベルを付した名称にすると発表した。市町村が発令する避難情報との対応関係を明確にするため。既に災害が発生したか、切迫していて「緊急安全確保」が出るような状況は、大雨による浸水害の場合は「レベル5大雨特別警報」という名称になる。
「避難指示」に対応するのは「レベル4大雨危険警報」、「高齢者等避難」は「レベル3大雨警報」となる。防災気象情報に関する検討会(座長・矢守克也京都大防災研究所教授)がまとめた報告書に基づく方針。今後、気象業務法や水防法などを踏まえて名称を最終決定し、2026年の梅雨期前に運用を始める。
氾濫情報は大きな河川の堤防が決壊したり、水位が堤防を越えたりして起きる外水氾濫が対象で、河川ごとに発表される。これに対し、大雨情報は小さい河川の外水氾濫のほか、雨量が下水道の排水能力を超えて起きる内水氾濫や浸水害が対象で、土砂災害情報とともに基本的には市町村ごとに発表される。土砂災害については現在、レベル3が大雨警報(土砂災害)、レベル4が土砂災害警戒情報となっているが、名称を他の情報にそろえた。
高潮は津波と異なり、台風や低気圧による気圧の低下や強風によって海面が上昇し、沿岸地域が長時間浸水する。高潮の情報は沿岸に打ち寄せる波の高さも考慮する。
矢守座長は18日の記者会見で「『レベル』を主役にしたシンプルで分かりやすい名称を提案した。より重要なことは、その情報が実際に人を動かすかどうかで、有効に活用するための取り組みが求められる」と話した。
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