国土交通省は6月14日、主要都市の高度利用地など(全国80地区)における2024年1月1日~4月1日(24年第1四半期)の地価動向を調査した「地価LOOKレポート」を公表。2007年の調査開始以降、初めて住宅地・商業地の全てで地価が上昇した。このうち住宅地は8期連続で全地区が上昇している。住宅地では、利便性や住環境に優れた地区でマンション需要に堅調さが認められ、地価が上昇した。
上昇地区80地区について変動率を見ると、「上昇(3~6%)」が6地区、「上昇(0~3%)」が74地区に。商業地は調査依頼初めて、58地区の全てで上昇している。「横ばい(0%)」から「上昇(0~3%)」 となった地区は東京都江東区青海・台場。 「上昇(3~6%)」から「上昇(0~3%)」となった地区は豊島区池袋東口。
福岡大濠は素地需給がひっ迫
福岡市大濠は住宅地の中で唯一、上昇率3~6%の高い水準を維持。この地区では大規模一般住宅の中にマンションが混在し、市内でも有数の優良マンション供給エリアとなっている。マンションの販売状況は依然堅調で、完成在庫は少なく、開発が可能なエリアでは素地需給の逼迫(ひっぱく)が続いている。一方、金融政策の見直しによる金利上昇への懸念があることから、今後地価は上昇幅が縮小する予想。
商業地では、東京都中央区銀座中央、新宿区歌舞伎町、中野区中野駅周辺、横浜市みなとみらい、京都駅周辺(京都市下京区)が引き続き3~6%の高い上昇率で推移。銀座中央は、訪日外国人観光客による消費が盛んで、物販や飲食テナントなどの引き合いが回復傾向となっている。空室が長期化していた区画や中心部以外の物件でも好条件での成約が見られる。
歌舞伎町では、2023年4月に開業した複合商業施設「東急歌舞伎町タワー」を中心に、国内若年世代や外国人観光客などが多数来訪。店舗賃貸市場では、これらの顧客をターゲットとした客単価の低い飲食店の需要が継続し、空室がほぼない状態となっている。みなとみらいは、オフィス賃料・空室率は弱含みだが、ホテル稼働率は高水準となっており、投資適格物件に対する取引価格の上昇傾向が続いている。
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