社員大工を他社の現場に派遣して“共有”する試みが、4月に東京都内で行われた。岡庭建設の社員大工2人が、同じく社員大工を擁する創建舎の現場に入場。木工事の一部を担った。近い将来、大工人口が半減すると言われている中、社員大工の“共有”はどんな意味を持つのか。両社に話を聞いた。【編集部 荒井隆大】
きっかけは創建舎のある現場で、工期が厳しくなる見通しが立ったことだった。社長の吉田薫さんは、大工の人数を増やそうかと思ったものの「ずっと社員大工だけで現場を回してきたので、他に大工のつてがなかった」。
困った吉田さんは、東京家づくり工務店の会(TOIZ)の仲間で、たびたび社員大工について意見を交わしていた岡庭建設専務・池田浩和さんに相談。池田さんも「ちょうど自社の大工の手が空きそうな時期と創建舎の工期が被っていた」ことから、現場チームに調整してもらい、大工を2人派遣することを決めた。
作業内容や地域特性は 事前の共有が重要
実際に岡庭建設の大工が創建舎の現場に入ったのは約10日間で、2人は複雑な納まりが求められない、外壁の木板張りを主に担当した。吉田さんは、2人に「岡庭建設の大工という安心感」を持ちつつ、自社の家づくりを担保するためにも「他社の大工に頼める作業は限られる」と話す。事前には図面や作業内容を共有し、現場での顔合わせも行っている。
2社は同じ東京都内の工務店といっても、それぞれエリアの特性は異なる。例えば・・・
この記事は新建ハウジング6月20日号1面(2024年6月20日発行)に掲載しています。
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