アンドパッド(東京都千代田区)は6月7日、同社のクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を利用してDXを実現する取り組みを表彰する「ANDPAD AWARD 2023」の授賞式を開催した。業態および売上規模別の5カテゴリーで各3社が入賞。最優秀賞に専門工事部門(売上10億円以上)の宗重商店(石川県金沢市)が選ばれた。住宅部門では、売上10億円未満で鈴木建設(熊本県熊本市)、10億円以上ではLib Work(熊本県山鹿市)がそれぞれ大賞を受賞した。
同社社長の稲田武夫さんは冒頭のあいさつで「建築DXの確かな成果を業界全体に広げたい。また、DXに取り組む皆様にスポットライトを当てることで、新しい機会や出会いが創出されることを願い、アワードを開催している」と、同アワードの意義を説明。今年は、ANDPAD導入企業を対象とするDXカンパニー部門で15社、同サービスの利活用率が特に高いユーザーを表彰するユーザー部門14人を表彰した。
住宅部門の売上10億円以上の入賞社は、フジケン(愛知県岡崎市)、リストホームズ(神奈川県横浜市)、Lib Workの3社。売上10億円未満では、鈴木建設、住まいる高知(高知県香南市)、兵恵建設(岡山県津山市)が入賞した。
各社DXの取り組みをプレゼン発表
住宅部門・売上10億円未満で大賞を受賞した鈴木建設は、同サービスを利用することで現場訪問時間と会議時間を短縮し、業務の効率化と粗利率向上を実現。また、時間削減によって生まれた時間を現場美化に利用し、顧客満足度を高めたことが評価された。
Lib Workは、各部署の約50種の帳票の整理・管理を廃止し、全てをANDPAD上での管理に変更した。関連業者に対しても同サービスの積極的な利用を促し、現場経験者でなくとも工程管理が組めるような仕組みを整備。結果として1カ月で706万円のコスト削減に成功、業者の待ち時間も少なくなり満足度向上にも寄与した。また、残業時間を前年比82.9%まで削減したことも評価され、ユーザー投票によるONE賞(特別賞)も同時に受賞した。
最優秀賞を受賞した宗重商店は、KY(危険予知)活動への取り組み、夕礼廃止による時間の有効活用など、古くからの固定観念や業界の慣習をDXにより変えて社員満足度を高めた。また、サービス利用の目的を「人を育てて、お客様の満足度を上げること」に定め、工事・営業品質、労働環境の課題も大きく改善。ペーパーレス化にも取り組み、社員の総残業時間を4分の1まで短縮したことなどが評価された。
審査員の東京大学建築情報学研究室特任教授・池田靖史さんは「大賞を受賞した5社のプレゼンには熱い思いがあり、胸を打たれるものがあった。その中で(宗重商店は)DXの目的が、利益や仕事の効率化だけでなく、社員が仕事に対する誇りを持つためにDXで会社の仕組みをつくっていることが最優秀賞の決め手だった」と総評を述べた。
■関連記事
「ANDPAD AWARD 2023」受賞者決定 6月7日に授賞式
建設DX研究所、建設DX推進を提言 総理官邸でフォーラム
アンドパッドがコンベックスをグループ化 何が変わる?
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。