内閣府が10日発表した2024年1~3月期の実質GDP(国内総生産、季節調整済み)改定値は、年率換算で前期比1.8%減(速報値は同2.0%減)と小幅な上方修正となった。認証不正問題があったダイハツ工業での自動車生産再開などにより、4~6月期はプラス成長に転じる見込み。しかし個人消費の低迷が続きかねず、日本経済が本格的に回復できるかは不透明だ。
1~3月期のマイナス成長は、ダイハツなどの認証不正が個人消費や輸出に一時的に波及したことが主因とされる。内需の柱である個人消費は改定値が前期比0.74%減と、速報値(0.68%減)を下方修正した。物価上昇により実質賃金が目減りし、消費意欲も減退した。
先行きについては、大手企業を中心に高い水準での賃上げ妥結が相次いだ今春の春闘の結果が、給与に反映される。また政府が経済対策として6月に始めた1人当たり4万円の定額減税も、個人消費の回復を後押しすることが期待されている。
ただ、円安による輸入物価押し上げのほか、電気・ガス代の負担を抑制する補助制度が5月末で廃止され、消費意欲の回復が遅れるとの見方も根強い。6月3日にはトヨタ自動車など5社で新たな認証不正が判明し、自動車生産などの回復に水を差す懸念も浮上した。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは「消費の持ち直し度合いには不透明感が大きい。景気は先行き改善を見込むも、加速感が出るには至らない」と話している。
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