AQ Group(埼玉県さいたま市)は6月7日、埼玉県上尾市の木造建築技術研究所内に「構造実験棟」を4月に竣工したと発表した。実験棟は、延床面積512.0㎡の平屋建てで、「水平加力試験」「鉛直加力試験」の複合機を設置し、6月3日から試験機の稼働を開始している。
同社は技術開発の場として、敷地1万5000㎡超の同研究所を活用。今回、完成した構造実験棟は、住宅用一般流通材のみを使用した木造トラスによって、512㎡超(約310帖)の無柱大空間を実現した。
同施設は、普及型の中規模木造建築のプロトタイプとして、また試験設備を持たない中小企業・大学でも戸建て住宅から中規模木造までの研究開発を実施できる場として提供する。同社によると、中規模木造建築の開発専用で最大荷重500kNの水平加力試験を外部から「試験請負業務」として受ける日本初の研究施設という。
柱のない大空間とするために、16mの木造トラスを一般普及型で開発。内部は木のあらわしとした。トラスは桁行方向に延ばして面積拡張すれば、別の用途での活用も可能。特殊工法を使わないため、木造大工でも建築できるという。
構造実験棟の建築費は坪40万円以下で、同規模の鉄骨造建築と比較して3割以上のコスト削減に成功した。中小ゼネコンや地域工務店でも施工可能とすることで、中規模木造建築の普及に貢献するとしている。同社は今後、「普及型木造ビル」の技術で5階建て以下の領域で木造ビル・木造マンション・商業ビルを展開していく。
木造建築技術研究所は、技術開発においてこれまで木造専用の試験場がなかったことから、中小企業や大学も研究開発を実施できる場として「構造実験棟」を建設。木造専用の試験機「水平加力試験」「鉛直加力試験」で、面内せん断試験や曲げ試験・軸圧縮試験などを行うことができる。木造住宅用だけでなく、中規模木造建築開発の試験にも対応する。水平加力試験機の稼働開始は10月の予定。
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