４月の実質賃金、0.7％減　マイナス幅縮小も、25カ月連続

厚生労働省が5日発表した4月の毎月勤労統計調査（速報、従業員5人以上）によると、現金給与総額（名目賃金）に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比0.7％減少した。減少は25カ月連続で、過去最長を更新した。賃上げ効果でマイナス幅は前月と比べ縮小したが、名目賃金の伸びを物価上昇が上回る状況は続いている。

減少率は前月から1.4ポイント縮小し、2022年12月以来、1年4カ月ぶりの小さい幅となった。4月から24年春闘の賃上げ結果が反映され、基本給を中心とする「所定内給与」が29年半ぶりの伸びとなったことが寄与した。　

基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均で2.1％増の29万6884円。このうち「所定内給与」は2.3％増で、1994年10月以来の伸び率だった。残業代などの「所定外給与」は0.6％減り、賞与など「特別に支払われた給与」は0.6％増えた。

実質賃金の算出に用いる消費者物価指数（持ち家の帰属家賃を除く総合）の上昇率は、2.9％と前月から低下した。

就業形態別の名目賃金は、正社員ら一般労働者が2.0％増の37万8039円。パートタイム労働者は2.0％増の10万8358円だった。1人平均の総実労働時間は0.7％減少した。