2023年の合計特殊出生率が過去最低の1.20となったことが、厚生労働省が取りまとめた人口動態統計で明らかになった。少子化や人口減少が急速に進んでおり、識者は対策として低所得者の賃上げや、男女の労働環境改善を提言する。
少子化問題に詳しい藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員は「若い世代の非正規雇用者の待遇が改善されてこなかったことなどが大きな要因だ」と分析する。子どもを持たない人の多くは所得が低く、雇用形態が不安定だという。
既に子どもがいる人への支援だけではなく、子どもを持たない人にどうアプローチするかが課題だと指摘。「低所得者層の賃金を底上げし、結婚、出産したいと思えるような環境をつくることが重要だ」と語った。
人口問題に詳しい大正大の小峰隆夫客員教授(日本経済論)は、日本では女性の社会進出が進む一方、今も家事や育児を女性が中心となって担う実態があるとし、「女性に重荷になっている」と話す。
出生率の向上には、男性も育児休暇を取りやすい態勢を企業が整えるなど、「仕事と子育てを両立しやすくする環境づくりが必要だ」と強調。子どもを希望する保育施設に通わせることができるシステムを構築することの重要性も指摘した。
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