家を探しながら、あなたの“人生のパートナー”を見つけませんか−。
そんな一風変わった婚活パーティーが、銀座の一等地で開催するとの情報を聞きつけ、本紙記者が現地取材してきた。
主催は、オープンハウス(東京都渋谷区)。5月26日、同社が運営する男女のマッチングサービス「婚家結(こんいえむすび)」のリアルイベントとして「婚家PARTY」を開催したものだ。
婚家結は、一般的なマッチングアプリとは異なり、職業や年収、容姿といった基本情報は掲載しないのが特徴のひとつ。将来“住みたいと思う家”に求める条件のみをきっかけに、男女のマッチングを促進するサービスだという。
同社によると2024年1月にサービスを開始し、利用者が一定数集まったことから、初のリアルでのイベントを開いた。当日は、男性24人・女性23人、計47人の男女が参加した。
イベントの冒頭では、同社の“婚家結アドバイザー”の塩山恵理菜さんが司会を務め、乾杯のあいさつから幕が上がった。
男女のトークタイムに入る前には、同社営業本部部長の赤塚晴大さんから、「理想の住まい・結婚相手探しのポイント」として、住宅ローンや不動産情報などの説明を中心としたミニセミナーが行われた。
赤塚さんは「家探しをきっかけに夫婦仲が険悪になるケースもある」とし、住まい探しの共通点を婚前に深めることで、トラブルを防げるとのアドバイスを送った。
同イベントにおける赤塚さんのもう1つの役割は“恋のキューピッド”だ。
会場には「もしもブース」と題した相談所も設置しており、マッチング成立した男女の、家探しのアドバイスを行った。
同イベントの特徴として、参加者は目元を隠すために仮面を被って参加する。マッチング条件を“家”に限定するため、お互いの先入観を極力なくすための取り組みだ。そのため、参加者は事前に記入した手元のプロフィールカードを元に、親睦を深めていく。
カードには、現在住んでいるエリアや将来住みたいエリア、家で最も重視するポイントやペットの有無なども記載。そのほか、家の希望価格帯や購入時期なども記載することで、より具体的な将来設計をすり合わせられるような項目が設定されている。
あなたは戸建て派?マンション派?
トークタイムでは、“戸建て派”と“マンション派”に分かれ、2分間でテンポよく席を移動しながら、お互いの共通点から話題を掘り下げる。短時間なこともあり、開始早々から白熱する様子が垣間見えた。
一般的な婚活イベントとは違い、家のことだけを知るために具体的な項目が並ぶため、参加者からは「会話に困らなかった」「相手のことを自然に知ることができた」という声も。
参加者の年齢は男女ともに30~40代が中心。婚活も家の購入も真剣に検討している層が多かったことも、盛り上がったきっかけだろう。
晴れて“マッチング成立”したのは5組。その男女は、「もしもブース」で、同社から住まいの選び方や住宅ローンなど将来設計に関するアドバイスを受けていた。今後も、都内で同様の婚活パーティーを開催予定だという。
■記者の目/新しい集客・育客イベントの形
当初は、婚活イベントが住宅受注につながるイメージを持てなかった。しかし取材を通じて、多くの参加者が一次取得者層になり得る世代であること、また潜在顧客と家づくりの知識を育める場でもあるため、集客や育客にもつながるイベントの形として、大きな可能性を秘めていると感じた。一方、参加者の目的である“マッチング成立”を前提として支援しつつ、家づくりまでの導線をいかに整えられるかが、受注増加の鍵となるだろう。【編集部 佐野元基】
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