LIFULL(東京都千代田区)のグループ会社LIFULL ArchiTech(ライフル アーキテック、東京都千代田区)は6月4日、豊田通商(名古屋市)とインスタントハウスの海外展開における業務提携を4月1日に締結したと発表した。
これにより両社は、国内で培ってきたノウハウと、インドネシア、タイ、ベトナムの現地法人および関連企業のネットワークを生かし、現地での製造・販売から設置までを行う。インスタントハウスは、テントシートを空気で膨らませながら内側から断熱材を吹き付けた構造物で、1棟あたり3~4時間で設置可能なため、長期間の工事や大きな資材搬入が難しい場所でも設置できるという。
今回、インスタントハウスの展開を進めるアジア地域には、バリ島などのリゾート地や、日系・欧米企業が進出する工業団地が位置しており、近年多くのエリアが開発対象となっている。一方、大規模な開発コストや自然環境豊かなエリアでの施工の難しさ、宿泊施設の冷暖房に使われるエネルギーの環境への影響など、既存建築物では解決が難しい課題があった。また、地震や洪水の多発地域でありながら、避難施設の整備などの対策が不十分といった課題も抱えている。
インスタントハウスは、断熱性・遮音性・耐久性に優れ、耐震性、耐風性もあわせ持っているため、宿泊スペース、ワークスペース、フィットネスなどの用途に加え、避難所の医療救護室や子どもやコミュニティの休憩所、断熱を要する備蓄倉庫などにも活用可能。暑さの厳しい東南アジアであっても冷暖房に多くのエネルギーを使うことなく快適に過ごすことができる。
両社は、2023年8月に豊田通商が運営するインドネシア・ジャカルタ近郊のホテル敷地内に、協働でインスタントハウスによるモデルハウスを設置し、資材調達や設置における検証を実施。また、2024年2月には能登半島地震の被災地へのインスタントハウスの寄贈やモロッコでの共同調査などを通じて連携してきた。
今回の提携により、同社が国内で蓄積してきたノウハウを豊田通商に提供するとともに、豊田通商が持つ海外現地での資材調達や製造拠点の開発力、マーケティング力を活用した国際的な販売網が実現可能となるとしている。
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