過疎地におけるコミュニティビジネスは究極のニッチビジネスと言える。そもそも成立しうるのか、成立させるためにはどのような条件が必要なのか。地域経営論に詳しい公立鳥取環境大学の倉持裕彌准教授に話を聞き、ポイントをまとめた。
|取材協力|公立鳥取環境大学 准教授 倉持裕彌
コミュニティビジネスは「発生」するもの
◉前提として、本稿における「コミュニティビジネス」は、「地域の課題を地域住民が主体的に解決するビジネス的な取り組み(ボランタリー的な活動も含む)」と定義する
◉コミュニティビジネスと一般的なビジネスは分けて考える必要がある。ただし、前者のほとんどは後者の枠内に収まる
➡唯一残るのは、過疎地における限られた人々が成り立たせる「ビジネスに近いもの」
◉分かりやすくするために例を示す。コンビニが撤退するような人口の少ない地域には誰も出店しない。とはいえ買い物できる場所が必要な人たちはいる。その小さな需要を拾い上げて日用品や食品を購入できる小売店を始めると、コミュニティビジネスが「発生」する
◉実際にはリスクを負ってまで上述したビジネスを手がける人は少ないため、ほとんどの場合、コミュニティビジネスは「発生」しない。過疎地は人口が減り続けており需要がさらに減るのは自明であることを併せて考えると、「コミュニティビジネスは成立しない」という結論に行きつく
◉同様に過疎地では生活する上で不可欠な建物や設備の修繕、庭の手入れなどを行うのも難しくなってくる。だがこれらは過疎地の外から業者に来てもらえば済む
◉逆に過疎地に中小工務店があった場合、地元では上述の仕事以外は得るのが難しくなる。この場合、過疎地の外に仕事を求めて経営を成り立たせることはできる
➡上記2点より、建築関連のビジネスは狭義でのコミュニティビジネスとはなり得ない
コミュニティビジネスの存続条件
◉少数だが過疎地ではコミュニティビジネスが「発生」する。それはどのくらい長続きするのか。コミュニティビジネスは担い手が高齢者であることが多く、本人自身が数十年後まで担えるとは思っておらず、長期的な持続性や成長拡大などは見据えていない
➡一方で、5年間など短期的に見れば、地域住民にとっては価値のあるコミュニティビジネスになりうる
◉同氏が見てきた事例のなかで、5 年以上事業が続いているのは、・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー6月号(2024年5月30日発行)異業種の手法を60字で学ぶ 住宅ビジネス[超]ヒント集』(P.79〜)でご覧ください。
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