国土交通省は5月29日に開いた上下水道地震対策検討委員会で、上下水道の地震対策強化に向けた中間とりまとめを公表した。
能登半島地震では、耐震化されていた水道施設の機能はおおむね確保できたが、耐震化未実施だった施設で被害が生じたことにより、最大約14万戸の広範囲で断水や下水管内の滞水が発生し、復旧作業が長期化した。これを受けて同省は、上下水道の地震対策を強化・加速化させる方針を決定した。
被災地における整備の方向性では、施設の耐震化に加えて、施設規模の適正化や施設の広域化・統廃合、被災時の機能確保の方法などを検討する。また、必要に応じて運搬送水や浄化槽の分散型システムの活用を含めた整備を行う。
施設の配置では、地すべり地形分布図などを参照し、被災のおそれのある箇所を避けるよう考慮する。施設の管理では、スマートメータやドローンの活用などDX技術の導入を推進し、台帳のデジタル化や遠隔監視・制御による効率化を目指す。
今後の地震対策では、災害に強く持続可能な上下水道システムの構築を推進。避難所や病院など重要施設の耐震化やネットワーク化、給排水施設の耐震化、耐震性貯水槽の応急給水対策などを重点的に進める。さらに道路交通機能の確保に向けて、マンホールの浮上防止や下水道管との接続部の対策も行う。
全国統一されたルールづくりを
災害時の対応では迅速な復旧を図るため、支援自治体の相互連携により上下水道の一体的な早期復旧体制を構築する。上下水道システムの基幹施設や市役所などの防災拠点では、最優先で復旧すべき箇所をあらかじめ計画として定めておく。
他に、飲料水、生活用水(風呂、トイレ、洗濯)を確保するための統一された仕組みやルール化も必要となる。具体的には、集落排水や浄化槽の全国支援体制、下水道、集落排水、浄化槽、コミュニティプラントの相互連携、下水処理場でのくみ取りし尿受け入れ方法などのルールを構築する。
日本水道協会、日本下水道協会などの業界団体に対しては、自治体や民間企業が連携しやすくするため、業界団体と全国の工事業者による復旧支援、相互支援の枠組みを深化させることを求める。
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