帝国データバンク(東京都港区)がこのほど発表した新設法人調査の結果によると、2023年に全国で新設された企業は2024年4月時点で15万2860社(前年比7.9%増)と2年ぶりに増加。2021年の14.4万社を上回る過去最多を更新した。法人の新設は2010年代後半から増加傾向が顕著となり、設立数は10年前(2013年)の約1.4倍となっている。
新設法人数が増加している要因には、新興企業や太陽光発電への投資など特定の事業活動を目的とした企業設立が活発であることや、2023年10月にスタートしたインボイス(適格請求書)制度への対応で、小規模事業者が法人格を取得したことなどがあげられる。また、起業への心理的なハードルが低下していることに加え、「スタートアップ創出促進保証」など国・自治体による創業支援制度も起業の増加を後押ししているとみられる。
2023年の休廃業・解散件数は5万9105社(前年比10.6%増)、企業倒産件数は8497社(同33.3%増)と、いずれも新設法人の増加率を大幅に上回ったが、新設法人数としては「倒産・休廃業・解散」の総数よりも2.26倍高い水準だった。
法人格別にみると、「株式会社」が10万1459社と最も多く全体の66.4%を占めた。株式会社が10万社を超えるのは2000年以降初。「合同会社」は4万630社(26.6%)で、両者を合わせると全体の9割を超える。
法人格別の増加率では、法人化への要件が緩和された「土地家屋調査士法人」が42.9%増(42社→60社)と最も高かった。マンション建設ラッシュなどを背景に「管理組合法人」も29.2%増(65社→84社)と増加が目立った。一方、「社会福祉法人」(86社→55社、36.0%減)は、新規参入しづらい環境が影響し、3割以上も落ち込んだ。
起業年齢、過去最高に
企業新設時の代表者年齢(起業年齢)は、平均48.4歳と前年比0.2歳上昇し、過去最高となった。過去5年で1歳以上、過去20年で約3歳も上昇しており、起業年齢の高齢化が進んでいる。年代別では、「40代」が全体の31.9%を占めるが、2019年をピークに低下傾向にある。コロナ禍前は4社に1社を占めた「30代」も2割未満にとどまった。一方、シニア層の割合が高まっており、「50代」が25.3%、「60代」が12.2%となった。
都道府県別では、最多は「東京都」の4万6598社。次いで「大阪府」(1万5723社)、「神奈川県」(1万228社)と大都市部を中心に続く。増加率が最も高いのは「沖縄県」の13.9%増(2132社→2428社)で、観光産業やIT関連産業を中心に起業が活発化したとみられる。続く「秋田県」「岩手県」(各13.7%増)は、前年からの反動増のほか、両県の創業支援によって起業機運に変化が生じている可能性もあるとしている。
同調査は、同社が保有する企業データベースのほか、登記情報などを基に2023年に全国で新設された企業を対象に実施。設立時点の代表者情報や本社情報については、遡って最も古い情報を基に算出・推計した。
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