帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、全国2万7052社を対象に実施した「2024年度の設備投資に関する企業の意識調査」の結果を公表した。今回で8回目。有効回答企業数は1万1222社(回答率41.5%)。2024年度に設備投資を行う予定(計画)が「ある」(すでに実施した・予定している・実施を検討中の合計)と回答した企業は、前回(2023年4月)から1.8ポイント減の58.7%で、4年ぶりに前年を下回った。設備投資を「予定していない」は33.1%で、前回から2.0ポイント上昇した。設備投資予定額は、平均1億2705万円で、前回から約200万円増加している。
企業からは「物価上昇にともない機械関係が高騰、支払いのめどが立たない」などの声が寄せられ、設備投資にかかる費用の負担増を危惧する様子がうかがえた。
設備投資計画がある企業を規模別にみると、「大企業」は73.5%とコロナ禍前(2019年4月71.1%)を上回るが、「中小企業」は56.0%(同60.1%)、「小規模企業」は44.0(同48.6%)となり、企業規模によって設備投資意欲に差がみられた。規模が小さい企業では、人的投資と設備投資に優先順位をつけているとみられる。
予定している設備投資の内容で最も割合が高いのは、交換・更新など「設備の代替」(58.9%)で、2年連続5割を上回った。次いで「既存設備の維持・補修」(29.8%)、「省力化・合理化」(25.7%)、「DX」(24.8%)、「情報化(IT化)関連」(22.2%)が続いた。「情報化(IT化)関連」または「DX」を選択した「デジタル投資」は37.4%と4割近くにのぼった。また、2024年問題の影響がみられる「物流関連(倉庫等)」(7.2%)も10位以内にあがった。
おもな資金調達方法は、「自己資金」が57.1%と半数以上を占める。金融機関からの借り入れは「長期(22.0%)」、「短期(6.7%)」をあわせると3割近くになり、8割超の企業が自己資金や金融機関からの借り入れで資金調達していることがわかった。また、政府支援を期待する声も複数あがった。
一方、設備投資を「予定していない」企業に理由を聞いたところ、「先行きが見通せない」(44.1%)がトップだった。次いで「現状で設備は適正水準である」(26.9%)、「投資に見合う収益を確保できない」(21.4%)、「借り入れ負担が大きい」(13.8%)、「手持ち現金が少ない」(13.5%)、「自社に合う設備が見つからない」(13.4%)が続いた。
規模別でみると、「中小企業」では「先行きが見通せない」「借り入れ負担が大きい」「手持ち現金が少ない」が、「大企業」よりも5ポイント以上高く、資金面への強い不安がうかがえる結果となった。
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