国土交通省は2022年6月17日に交付された「改正建築物省エネ法」の施行に伴い、関係省令の整備を進めている。建築物省エネ法施行規則の改正では、建築士による建築物のエネルギー消費性能に関する説明について、工事の着手前に行うことを努力義務化する。他に適合性判定の手続き・審査の合理化に向け、省エネ適判を要しない容易な特定建築行為に関する規定や、省エネ適判時の添付図書に関する項目を新たに設ける。6月21日までパブリックコメントを実施した後、夏頃の公布、2025年4月1日(※一部は交付日と同日)の施行を予定している。
建築物省エネ法施行規則の新設項目のうち、省エネ適判を要しない比較的容易な特定建築行為については、①外壁、窓などにより熱の損失の防止に関する省エネ性能基準に適合させる住宅、②省エネ基準に適合する住宅と同等以上の設計住宅性能評価を受けた新築の住宅、③長期優良住宅建築等計画の認定または長期使用構造などの確認を受けた新築の住宅―を対象とする。
また、特定建築行為に該当する新築住宅で、設計住宅性能評価の申請や長期使用構造などの確認が求められた場合、新築時に必要な省エネ確保計画への図書の添付は不要となり、確認申請に必要な添付図書を確保計画の添付図書としてみなす。
建築基準法施行規則の改正では、計画の変更時に建築確認が不要となる対象として、①構造耐力上主要な部材の材料の変更(建築材料が異なるものとなる変更を除く)、②構造耐力上主要な部分である部材の構造の変更、③構造耐力上主要な部分である部材の位置の変更―を追加する。
木造住宅で申請時添付図書を合理化
建築確認申請書の添付図書の見直しでは、建築物全体を対象とする構造計算を実施しない木造建築物の場合に、構造部材などの仕様を明示した仕様表のみの添付で可能となり、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、二面以上の軸組図は省略できるようになる。その一方で、省エネ適判を要さない特定建築行為であることの確認に必要な図書(設計内容説明書など)を追加で添付する必要がある。
完了検査申請書の添付図書についても、▽設計住宅性能評価に要した図書・書類▽長期優良住宅建築等計画の認定または長期使用構造等の確認に要した図書・書類▽住宅品質確保法に基づく建設住宅性能評価の検査報告書またはその写し―の添付を求める。
住宅の建築物省エネ基準の評価ルートに関する内容も盛り込まれた。新たに基準適合義務の対象となった住宅については、従来の簡易な計算による評価ルートではなく、性能計算または仕様基準により評価することとなった。例外的に認められている気候風土適応住宅の外皮基準については、経過措置だった適用除外規定が恒久的な措置となり、省エネ基準相当の水準の規定値を用いる。
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