地域工務店による注文住宅だからこそ叶えられる夢がある―。大工で一級建築士でもあるカモノハシコウムテン代表の加藤雅敬さんは4月末、施主の小口洋介さんの思いと家族の夢が詰まった断熱等級7、耐震等級3の性能を備える二世帯住宅を、津島市内に完成させた。加藤さんは「小口さんのおかげで、新たなチャレンジを楽しみながらレベルアップできた」、小口さんは「加藤さんにつくってもらったこの家をみんなに自慢したいし、これからも加藤さんを応援し続けたい」と語る。つくり手と施主が、互いにリスペクトしながら“二人三脚”でつくり上げた住まいには、工務店の家づくりの魅力があふれている。
3年ほど前に小口さんは、妻の両親との同居を機に、その両親が暮らす築30年余りのハウスメーカーが建てた住宅(軽量鉄骨)のリフォームを検討していた。ハウスメーカーから見積もりを取ったところ、「60坪という大きさのせいもあると思うが、ちょっとした間取りの改変のほかは断熱など特に躯体はいじらずに、表層的なリフォームのプランで優に新築を建てられる金額が示された」という。
計画は進みつつあったものの、提示されたプランに対して日増しに違和感を募らせていった小口さんは「いや、このまま進めてはだめだ。きっと後悔する」と感じ、思い切って計画を白紙に。その後は、仕事や子育ての合い間を縫って、書籍やYouTubeなどを通じて、家づくりについて猛勉強を始めた。
建築家や趣味の話で 何時間も盛り上がる
そのかいもあり、短い期間ではあったが、「建築家の伊礼智さんが設計するような住宅の雰囲気が素敵だな」という憧れや、「暖かくて涼しい快適な温熱環境を実現する高い断熱・気密性能を備える家にしたい」といった自分なりの理想やこだわりを持つに至った。その結果としてたどり着いたのが、大工修業の後に、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の大学院で建築家の横内敏人さんや堀部安嗣さん、伊藤寛さんらに設計を学んだ経歴があり、高い基本性能を標準としながら、風景や町並みに調和するような家づくりに情熱を注ぐ加藤さん(カモノハシコウムテン)だった。
小口さんが初めてと加藤さんのもとを訪れた日のことを・・・
この記事は新建ハウジング5月30日号4面(2024年5月30日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。