「地籍調査作業規程準則」の一部が改正され、現地調査などの通知に無反応な所有者がいる場合の手続きが新設されることが決まった。さらに航測法による地籍測量適用区域の拡大や、地籍細部測量と一筆地調査を並行して実施することが可能になるよう改正を行う。6月15日までパブリックコメントを実施した後、同月28日に公布・施行する予定。
地籍調査は、土地の境界や所有者を明らかにするもので、主に市町村が実施。現時点での優先実施地域での進捗率は約80%で、全国(全体)の進捗率は50%にとどまっている。2029年までの「第7次計画」では、優先実施地域で87%、全国で57%の達成を目指しているが、これまでのペースでは目標の達成は難しい見込み。そこで制度を見直すことによりスピードアップを図る考え。
新技術活用で効率化も
筆界調査では土地の所有者や利害関係人、または代理人の確認を得て調査することが定められている。しかし現状では、土地所有者の所在が明らかであるにも関わらず、現地調査の通知を行っても反応がないことがあり、調査の妨げとなっている。そこで筆界案の送付後、期限までに回答がなければ筆界の確認がされたとみなし、調査を進めることができる内容を追加する。
また、土地所有者の高齢化が進み、地上での地籍調査の実施が困難になっていることを踏まえ、航測法(リモートセンシング)による地籍測量の適用区域を拡大する。これまでは山林・原野のうち特段の開発が見込まれない区域(精度区分乙三)、または山林・原野とその周辺の区域(同乙二)が適用区域だったが、農用地とその周辺の区域(同乙一)も適用区域とする。筆界確認は、リモートセンシングデータから作成した筆界案を集会所などで確認する方法を想定している。
他に、都市部で土地の細分化などにより、土地所有者による境界確認が困難となっていることや、災害時に復旧のため早期に境界を確認しなければならないケースがあることを踏まえ、地上地籍細部測量を一筆地調査と並行して行うことを可能とするよう改正する。都市部では民間による土地利用が活発であることから、既存の類似測量成果を活用することで、一体的に地籍整備を進めることが可能であると想定した。さらに効率化を図るため、MMS(車載写真レーザ測量システム)などの新技術の活用についても検討する。
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