長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが約11年ぶりに1%台に上昇した。住宅ローン金利や借入金利の上昇を通じ、個人消費や企業収益に影を落としかねない。一方、預金利息の回復などによる恩恵もありそうだ。
家計への影響では、長期金利に連動する「固定型」住宅ローンで金利が上昇し、新規借り入れや「10年固定」など一部期間のみ固定するタイプで支払いが増える可能性がある。低・中所得層など資産形成が進んでいない世帯には重荷で、現役世代の負担が増せば消費が冷え込み、景気減速につながる恐れもある。
みずほリサーチ&テクノロジーズが先月公表した試算によると、長期金利が1%上昇した場合、産業全体で経常利益が1.9%減少する。借入金の金利返済などのマイナス影響が利息収入などのプラス効果を上回る。
産業別では、資産より負債が多い傾向にある電力・ガスや農林水産、宿泊・飲食で2桁の減益となる。規模別では、中小企業が3.7%減と大企業(1.4%減)に比べ負担が大きい。
個人では定期預金の利息増なども見込まれるため、みずほリサーチは「家計全体として見れば恩恵の方が大きい」と分析している。
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