大規模リフォームの相談を受けたMさん。現地調査に向かったところ、築20年にしては建物の状態がよくない。高齢の住まい手が心配そうな顔をしながら立ち会うそばで、つい「こりゃひどい」とつぶやいた。その一言で住まい手は真っ青に。その後、不具合を逐一指摘したが、「悪口ばかり言わないで」と機嫌を損ねてしまった。
「私としてはいつも通りのつもりだったのですが…」とMさんは首をひねる。Mさんは地域密着型の工務店の3代目。こうしたリフォームは数多く手がけてきたベテランだ。
談のあった家は、築20年ほどの木造2階建て。高齢の住まい手がひとりで住んでいた。床の傾きやきしみなどが気になり、耐震性が不安なので水回りも含めてリフォームしてほしいという依頼だった。
Mさんが現況を確認するため、現地調査に取り掛かると、想定以上に劣化が進んでいることに驚いたという。「あまり程度のよくない建売住宅だったようです。全体的に建材は安っぽく、施工も雑。同業者として腹が立つくらい、いい加減な建物でした」。
そこでつい「こりゃひどい」という独り言が出てしまったというわけだ。
「年寄りを脅かして仕事を取ろうとするなんて!」
ただ、今まで自分が住んでいた家がよくない状態になっているのではと不安に感じていた住まい手には、その一言が大きな動揺を引き起こすこととなってしまった。Mさんは当初、そのことに気がつかず、続けて「断熱材もちゃんと入っていないし、筋交いもいい加減。こんな大工は許せないなあ」と本音をもらしてしまった。
そこで住まい手は怒りが爆発・・・
この記事は新建ハウジング5月20日号7面(2024年5月20日発行)に掲載しています。
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