国土交通省は5月16日、建築物のライフサイクル全体において発生するCO2を算定する「建築物ホールライフカーボン算定ツール(J-CAT)」試行版の提供を開始した。産官学連携の「ゼロカーボンビル推進会議」での検討を経て作成し、(一財)住宅・建築SDGs推進センターのホームページ上で配布している。正式版は秋頃に公表予定。
同ツールは、建築物を構成する資材の製造、運搬から施工、改修、解体に至るまでの建築物のライフサイクル全体において発生するCO2(エンボディドカーボン)などの温室効果ガス(GHG)排出量の算定ツール。GHG排出量を「見える化」することで、国際社会や次世代にも通用する質の高い建築ストックの確保を目指す。
評価算定の対象範囲は、新築・既存建築物は「資材製造」「建設(施工)」「使用(資材関連)」「解体」。改修・増築は評価時点以降の「使用(資材関連)」「解体」。工事の範囲は、新築建物の建築・設備、外構工事(造成開発工事・敷地外工事を除く)、設備インフラ工事などとなっている。
種類は、①設計から竣工までの最も標準的な利用を想定した「標準算定法」、②設計初期段階の概算用の「簡易算定法」、③竣工段階の精算用の「詳細算定法」―の3種類。Excel(エクセル)の入力シートに、建物の基本情報や資材数量、更新周期などの必要項目を入力することで、自動で計算できる。
算出結果には、ホールライフカーボン、アップフロントカーボンの詳細な内訳、時間経過に伴う算定条件の変化を加味した結果表記、炭素貯蔵量の表記などを表示。建物概要、外観、評価結果、配慮事項で構成された一般向けの結果報告書と、専門家向けの結果報告書の2種類が出力できる。
■関連記事
建設現場ごとのCO2排出量を可視化するクラウドサービス
気候危機・脱炭素社会―工務店がサステナブル社会で担う役割
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。