東京都はこのほど、「盛土規制法」(2023年5月26日施行)に関する許可申請手続きや審査基準などをまとめた「盛土規制に係る手引」を発刊し公開した。同法の概要のほか、新たに定められた工事主の資力・信用審査のための基準や、特定盛土など土石の堆積に関する技術的基準などを記載している。
都では7月31日に盛土規制法に基づく規制区域を指定し、運用を開始する。それまでの期間は経過措置として、改正前の「宅地造成等規制法」による規制が適用される。都内ではほぼ全域が「宅地造成等工事規制区域」の対象となっている。
手引きは、①概要編、②手続編、③設計編、④施工編、⑤資料編―で構成。①「概要編」では、同法に関する解説や盛土などの定義、届出要否の判定フロー、許可・届出不要の工事などについてまとめた。②「手続編」では、許可申請の手続の流れや必要書類、申請手数料、住民への周知内容などを説明している。
③「設計編」では、地盤に関する技術的基準(崖面天端の排水、地滑り抑止杭、段切り、盛土・切土、他)、擁壁に関する技術的基準など、④「施工編」では、工事施行に係る手続、検査(中間・完了)の概要、定期報告の内容、施工上の注意点などを解説。⑤「資料編」では、断面図などの技術資料や書類様式を掲載している。
土捨て行為なども規制の対象に
盛土規制法では、宅地・農地・森林など土地の用途にかかわらず、盛土により人家に被害を及ぼす可能性のある区域を「宅地造成等工事規制区域」、市街地や集落などからは離れているが、地形の条件により盛土が人家に被害を及ぼしかねない区域を「特定盛土等規制区域」として定めている。
規制区域内で盛土や切土を行う場合は、あらかじめ許可・届出が必要。単なる土捨て行為や土石の一時的な堆積についても規制の対象となる。なお、一定規模以下の工事については、規制の対象外となっている。
■関連記事
14自治体が規制区域指定 危険な盛り土対策、法施行1年
施工者の“管理責任”を明示 「盛土規制法」5月26日施行
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。