東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)が4月26日に公表した2023年度の後継者不在に起因する「後継者難倒産」(負債1000万円以上)は、前年度比10.6%増となる456件に上り、同調査を開始した2013年度以降で最多となった。破産も419件(同10.5%増)と初めて400件を超え、6年連続で前年度の数を上回っている。
産業別で最も多かったのは「サービス業」の121件で、前年度から32.9%増加。次いで「建設業」の106件(同26.1%増)が多く、この2産業が突出している。「不動産業」は16件(同6.6%増)で2年ぶりに前年度を上回った。
業種別では、「建築工事業」の18件が最も多く、次いで「木造建築工事業」が15件となっている。建設業では他に「一般管工事業」「土木工事業」(各11件)も上位に。「とび工事業」「建築設計業」は各5件ずつとなった。就労者の高齢化が進む建設業で、後継者不在により事業継続が困難に陥るケースが目立つ。
要因別では、「代表者の死亡」217件(同2.8%増)が最多で、構成比は47.8%に達している。次いで「代表者の体調不良」160件(同14.2%増)、「代表者の高齢」55件(同25.0%増)と続いた。
同社によると近年、代表者の高齢化とともに不測の事態への対応も経営上の課題に。特に業績低迷が続く企業では事業承継の準備まで手が回らず、後継者の育成もままならない状況となっている。そのために代表者自身が事業運営に携われなくなった時点で、経営に行き詰まるのだという。
北陸は3年連続で最多に
エリア別では、「北陸」17件(同6.2%増)、「東北」32件(同14.2%増)、「中国」30件(同15.3%増)が上位に。「北陸」は3年連続で最多となった。一方、「近畿」は70件(同7.8%減)で5年ぶりに前年度を下回った。都道府県別では、「茨城」(9→16件)、「北海道」(17→29件)、「広島」(7→10件)などで増加。「千葉」(19→14件)、「神奈川」(21→17件)、「大阪」(37→30件)などで減少した。
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