大和ハウス工業(大阪市)が5月10日発表した2024年3月期(23年4月~24年3月)連結決算は、過去最高となる5兆2029億円となった。前期比6%・2947億円増と3期連続の増収。一方で、営業利益は同5.4%減の4402億1000万円、経常利益は同6.2%減の4275億4800万円、純利益は同3.1%減の2987億5200万円と減収に。退職給付金の見直しによる影響を除くと過去最高益だったとしている。
国内事業が順調に拡大した。海外では米国の戸建住宅事業を中心に事業を拡大した。利益面では海外事業で利益が186億円減少したが、開発物件の売却やホテル・スポーツクラブ事業の業績が大きく回復したことによりマイナス分を取り戻した。開発物件は物流施設を中心に売却が進んでいる。
戸建てで新ブランド展開
セグメント別の業績は、戸建住宅事業の売上高は9510億円(前期比8.5%増)、営業利益は351億円(同24.5%減)。国内では価格水準と注文住宅の品質を兼ね備えた分譲住宅「Ready Made Housing(レディ・メイド・ハウジング)」を新たに展開。海外では米国での引渡しが順調に進捗したことにより全体で増収となった。減益は国内での分譲比率の増加や、米国での売上総利益率低下によるもの。
賃貸住宅事業の売上高は1兆2502億円(同5.7%増)、営業利益は1157億円(同5.5%増)。欧州での大型プロジェクトの損失を計上したが増収増益となった。マンション事業売上高は4418億円(同8.8%減)、営業利益は373億円(同8.6%減)。中国で分譲マンション引渡戸数の反動減が響いた。再開発事業の「イニシア日暮里」は24年1月に販売を開始し、順調に進捗している。
商業施設事業はコロナ後の出店意欲やインバウンドの回復に支えられ、売上高は1兆1815億円(同8.2%増)、営業利益は1436億円(同8.0%増)と増収増益に。事業施設事業では既受注工事が順調に進捗したほか、物流施設を中心とした開発物件売却の好調により、売上高は1兆2944億円(同14.5%増)、営業利益は1232億円(同23.7%増)となった。
25年3月期は、海外事業や開発物件で売上増を見込み、売上高は5兆2500億円(前期比0.9%増)、営業利益は4000億円(同9.1%減)、経常利益は3600億円(同15.8%減)、純利益は2370億円(同20.7%減)の予想。
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