石川県が4月25日に公表した、能登半島地震発災から4カ月後の復旧状況によると、4月末までに着工した応急仮設住宅は5687戸で、完成した住宅は3368戸となった。完成した住宅のうちプレハブが3268戸、長屋が100戸となっている。(※数字はいずれも見込み)
着工した住宅のうち24%は、恒久的な住まいとすることも可能な木造住宅で、輪島市の南志見地区に2月中旬から着工。木造長屋づくりの平屋で、県産木材を外壁や床材などに活用した。また、屋根には黒瓦が採用されている。
会見では、記者から「プレハブが優先されるのは分かるが、高齢者が多い地域だからこそ、永住できるような応急仮設住宅が必要なのではないか」との質問があった。これに対し、馳浩知事は「どこに住むかというのは個人の判断。私ならばにぎやかな方が好きなので木造長屋型を選ぶが、実際にプレハブを選ぶ人が多いのは、早く落ち着いた場所に入りたいからではないか」と回答している。
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公費解体は停滞「大切なものが埋まっている」
災害廃棄物は、各市町に仮置場を設置し、これまでに約3万8000トンを処分。ゴールデンウィークに災害ボランティアによる復旧支援が行われたことから、処分量はさらに増加すると予想される。公費による被災建物の解体・撤去については、県構造物解体協会の協力により、1日500~600班体制で稼働できる解体事業者を確保した。4月25日時点で、16市町から8528棟の解体申請があり、すでに244棟の解体に着手。このうち88棟の解体が完了した。すべての建物の解体が完了するのは2025年10月となる予定。
公費解体については、被災場所から離れた場所にいる人への周知が不十分だったことから、県庁に窓口を設置し、申請書類の配布や制度の説明を実施。迅速に解体工事に着手するため、現地調査、解体費用の算定、現地立会いの調整などを行うコンサルタント職員の数を5月上旬までに、現行の91人から143人に増員する。
公費解体が進まない現状について、馳知事は「解体業者の準備体制は整っているが、ニーズを掘り起こしてマッチングするところに大変時間がかかっている。相談支援も行っているが、公費解体となると立会いが必要。その場所に大事なものが埋まっているのだから、取り出すか廃棄するかという判断は、家族などにしていただかなくてはならない」と語った。
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