LIXIL(東京都品川区)が4月30日公表した2024年3月期(23年4月~24年3月)の連結決算は、売上高に当たる売上収益が前期比0.9%減の1兆4832億2400万円、事業利益は同10.0%減の231億6200万円、営業利益は同34.3%減の163億5100万円。最終損益は139億800万円の赤字となった。
国内事業は、補助金効果により窓リフォーム向け商品の売上が伸長したものの、新築着工件数の減少が響き、持家・分譲ともに売上が減少。コスト面でも、資材・部品価格の上昇を販売価格改定で十分カバーできず減益となった。海外事業は、金利の高止まりや需要低迷により大幅な減益に。為替による影響が125億円に膨らんだ。さらに予定よりも早期に着手した構造改革にかかる費用も加わり、最終利益を押し下げた。
瀬戸欣哉社長はオンライン決算説明会で、業績低迷の要因について「第4四半期で窓リフォームの補助金が申請の端境期となったことが大きく、海外での売上低下も痛かった」と説明。その一方で、「支出を減価償却内で抑えつつ研究開発に費用を投じるなど、やるべきことはやった。需要が戻ればROIC(投下資本収益率)10%以上を見込めるだろう。自社の持続的成長と社会へのインパクト創出が両立できる商品もそろった」と話し、新製品の拡販により巻き返しを図る考えを示した。
セグメント別では、ウォーターテクノロジー事業(LWT)は、国内事業はリフォーム商品の売上が増加し増収減益だったが、海外事業は需要低迷により減収減益に。売上収益は8969億2400万円(前年同期比2.0%減)、事業利益は227億1700万円(同51.9%減)となった。海外は軒並み低調だが、インドのみ売上成長を継続している。製品別では衛生機器、バスルームが好調だった。
ハウジングテクノロジー事業(LHT)の売上収益は5964億4800万円(同0.3%減)と微減。事業利益は補助金効果もあり、358億8700万円(同85.4%増)と大幅な増益となった。高性能リフォームサッシの販売好調や価格改定効果、生産現場での収益性改善が利益増に貢献した。製品別ではビルサッシが好調だった。
25年通期は増益予想 構造改革効果に期待
25年期通期業績予想は、国内では窓リフォームの売上増加、海外では構造改革効果による収益改善により、売上収益は1兆5700億円(前期比5.9%増)、事業利益は350億円(同51.1%増)、営業利益は250億円(同52.9%増)、最終損益は80億円の黒字となる見通し。配当については、連結配当性向30%以上とする方針だったところ、中期的なEBITDA水準に基づいて年間配当金額を決定する方針に変更。EBITDA27%との予想から、1株当たり年間90円を据え置く。
海外事業の構造改革については、24年3期では人員配置の最適化、サプライチェーンの再構築、事業ポートフォリオの最適化に120億円を投じたが、25年3月期では第1四半期に最終となる65億円を投入する予定。これにより次期に60億円の効果が得られる計画だとした。
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