総務省が発表した住宅・土地統計調査結果で、空き家が増え続けている現状が明らかになった。空き家を放置すれば、資源の無駄遣いになるだけでなく、倒壊の危険性が増したり防犯上の問題を引き起こしたりしかねない。そこで、各地の自治体は民間と連携しながら有効活用を進めようとしている。一方で、管理が不十分で荒れた物件も目立ち、早期の安全対策が欠かせない。
滋賀県東近江市では、物件の活用を目指す官民の枠組みで対応。宅地建物取引業協会や建築士会、弁護士会などが団体をつくり、市と連携して空き家バンクの運営や持ち主向け相談会を開催している。昨年度は112件の相談を受け、23件の空き家を売却。管理業者の紹介や相続手続きの支援もしている。市担当者は「空き家をどうにかしたくても、何をすればいいか分からない人は多い」と指摘。専門知識を生かして問題解決に当たる。
こうした問題を巡っては、昨年12月に改正空き家対策特別措置法が施行。改正法では、有効活用に向け、市町村が指定したNPO法人などが所有者の相談に対応する仕組みが創設された。国土交通省は、指定法人向けの補助制度もつくり、各地の取り組みを後押しする。
一方、倒壊の恐れがある危険な「特定空き家」への対応も課題だ。市町村が持ち主に修繕を勧告したり、本人に代わって解体したりできる仕組みが2015年度に導入され、8年間で計16.8万件が修繕、解体された。改正法は、倒壊の恐れがなくても窓ガラスが割れるなど状態の悪い物件を「管理不全空き家」と定義。市町村が対応できる範囲を広げた。国交省担当者は「物件が再生不可能になる前に手を打ちたい」と語る。
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