トラック運転手の不足で物流の停滞が懸念される「2024年問題」の対策を盛り込んだ物流関連法が26日の参院本会議で可決、成立する。大手の荷主企業や物流事業者に、荷待ち時間の削減など運転手の負担軽減に向けた中長期計画の作成を義務付けるのが柱。一部を除き、公布から1年以内に施行する。
4月から始まった運転手の時間外労働への規制強化を踏まえ、物流の効率化を図る。民間の試算では、対策を講じなければ、30年度の輸送能力が19年度比で34.1%不足する。
事業者は、荷物の積み下ろしや待機にかかる時間の短縮といった対策を中長期計画に盛り込む。対策が不十分な場合、国が是正を勧告、命令する。違反が確認されれば、100万円以下の罰金を科す。中小零細事業者は計画作成を努力義務とした。
下請け事業者が適正な運賃を受け取れるよう、運送業務の委託を重ねる「多重下請け」の是正を図る。元請けに対し、下請けの状況が分かる管理簿の作成や契約内容をまとめた書面の交付を義務付ける。
このほか、軽トラックを用いた運送で死亡事故や重傷事故が増えているとして、安全管理者の選任を事業者に義務付ける。
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