帝国データバンク(東京都港区)は4月23日、2024年度の業績見通しに関する企業の意識調査の結果を公表した。調査対象は全国2万6935社、有効回答企業数は1万1268社(回答率41.8%)。
業績見通しについて、「増収増益」を見込む企業は前年とほぼ同水準の26.3%、「減収減益」は同0.7ポイント増の21.0%で4年ぶりに増加した。利益面では、「増益」の企業割合が3年ぶりに「減益」割合を上回ったが、いずれも3割台で拮抗しており二極化傾向がみられる。業績見通しは上向き傾向が続くが、勢いはやや鈍化していることが明らかとなった。
業種別で「増収増益」の割合が最も高かったのは、「金融」(32.5%)で、新NISAや証券市場の構造改革、外国人投資家の日本株評価がプラス材料となった。続く「サービス」(30.8%)では、「飲食店」(40.8%)が51業種中の2位、「旅館・ホテル」(40.4%)が3番目となるなど、ポストコロナやインバウンド拡大による好調が続く。
一方「減収減益」は、「小売」(25.4%)が最も高く、次いで「建設」(24.2%)となった。
2024年度の業績見通しを上振れさせる材料を聞いたところ、「個人消費の回復」が37.3%と2年連続でトップとなった。次いで「所得の増加」(24.1%)、「原油・素材価格の動向」(20.1%)、「人手不足の緩和」(19.0%)が続いた。2023年度に2位だった新型コロナなどの「感染症の収束」は、18.5ポイント減の9.5%で13位に後退した。そのほか、「緩やかな物価上昇(インフレ)」(14.4%)、「減税」(12.0%)が順位を上げ、「為替動向」(14.0%)、「金融緩和の継続」(6.5%)は順位を下げた。
業績見通しを下振れさせる材料は、「人手不足の深刻化」(39.4%)が5年ぶりにトップとなった。次いで、「原油・素材価格の動向」(33.3%)が11.9ポイント減の3割台で続いた。以下、「個人消費の一段の低迷」(28.6%)、「2024年問題」(27.5%)、「物価上昇(インフレ)の進行」(22.7%)などが2割台となった。「2024年問題」は、新たな時間外労働時間の上限規制の対象となる「運輸・倉庫」(49.1%)、「建設」(39.6%)が全体を大きく上回った。
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