帝国データバンク(東京都港区)は4月22日、コンプライアンス違反企業の倒産動向調査の結果を発表した。2023年度のコンプラ違反倒産は、前年度比16.6%増の351件と3年連続上昇し、2003年度以降初の350件超えとなった。
業種別では、「サービス業」が88件(構成比25.1%)と最も多く、「建設業」が61件(17.4%)と続いた。不動産業は9件(同2.6%)だった。
違反類型別では、違反行為で処分を受けた「業法違反」が84件(構成比23.9%)と最も多かった。売り上げの架空計上などの「粉飾」は81件(同23.1%)で、アフターコロナで資金調達環境などが変わるなか増加傾向にある。粉飾決算を伴う倒産には負債額が50億円を超えるものもみられ、金融機関をはじめ多くの取引先を巻き込むケースが相次いでいる。雇用調整助成金などの「不正受給」(30件)は前年度から2.5倍に急増した。
2023年度の倒産件数全体は8881件(前年度比30.6%増)と増加傾向で推移するなか、コンプライアンス違反倒産も3年連続で前年度を上回る高水準となった。コロナ融資で過剰な債務を抱えた企業が、金融機関に返済猶予や追加支援を申し入れたタイミングで粉飾決算が発覚し、行き詰まるケースなどがみられたという。同社は、些細な違反でも信用失墜につながるとして、企業経営者には法令順守による健全経営が求められるとした。
今回の調査では、粉飾、業法違反、脱税のほか、取材によってコンプライアンス違反が判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義し、法的整理、負債1000万円以上について分析した。
■関連記事
人手不足倒産、全体の3割が建設業 2024年問題で深刻化
23年度企業倒産、31%増 9年ぶり9000件台―商工リサーチ
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。