政府の地震調査委員会は4月17日23時14分に豊後水道で発生した、マグニチュード6.6、最大震度6弱の地震について18日、現時点では有意な地殻変動は見られず、南海トラフ沿いの大規模地震につながる変化は観測されていないと公表した。同地震における住家被害は、いずれも一部破損のみで、高知県で1件、大分県で8件にとどまっている。ただし過去の事例では、大地震発生後に同程度の地震が発生する割合が1~2割あったことから、地震発生から1週間程度は最大震度6弱程度の地震に注意が必要だとしている。
調査委員会は、今回の地震は東西方向に張力軸を持つ正断層型であると説明。震源付近で沈み込むフィリピン海プレート内部(深さ約40km)で発生した地震であると分析した。18日15時までに観測した震度1以上の地震は29回で、内訳は「震度6弱」1回、「震度4」1回、「震度3」1回、「震度2」7回、「震度1」19回となっている。長周期地震動は、「階級2」(=物につかまりたいレベル)を高知県西部で観測。「階級2」(=揺れを感じるレベル)を鳥取県、愛媛県、熊本県などで観測した。
南海トラフ地震との関連については、想定震源域内で発生した地震だが、現時点では平常時と比べて特段の変化は観測されていないとした。ただし、南海トラフ沿いは平常時でも今後30年以内に発生する確率が70~80%と高い状態にあり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから、切迫性の高い状態が継続しているという。
日向灘周辺、60年サイクルでM6・7級の地震
日向灘周辺ではこれまでに、約60.3年に1回の割合でM6.7~7.4程度の地震が7回発生。1909年にはM7.0~7.5程度の地震も発生している。近年では2001年3月24日に、マグニチュード6.4、震度6弱を観測した「芸予地震」が発生。広島県・山口県・愛媛県内で石積擁壁崩壊、モルタル吹付け落下、擁壁クラック、宅地地盤のクラックなどの被害が生じている。
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