全米リアルター協会(NAR)がこのほど発表した「中古住宅販売件数」で、米国における中古住宅の販売件数が1年ぶりの高水準に達したことが明らかになった。逼迫していた在庫の改善と住宅ローン金利の低下により、今後数か月でさらに需要が拡大することが見込まれる。
一戸建て・タウンホーム・コンドミニアム・コーポを含む米中古住宅販売総件数は、前月から9.5%減少し、438万件となった。これはこの1年間で最大の月間増加幅となっている。
中古住宅販売件数を地域別に見ると、横ばいとなった北東部を除く米国三つの地域において、前月比で増加した。それぞれの地域の販売件数は、北東部で48万件(前月比横ばい・前年同月比7.7%減)、中西部で103万件(前月比8.4%増・前年同月比3.7%減)、南部で202万件(前月比9.8%増・前年同月比2.9%減)、西部で85万件(前月比16.4%増・前年同月比1.2%減)となった。
米中古住宅販売価格の中央値は38.45万ドル(約5940万円)で、前年同月の36.36万ドル(約5616万円)から5.7%上昇した。米国4地域すべてで価格は上昇しており、需要に供給が追い付いていない現状が浮き彫りになっている。
住宅在庫は107万件で、前月からは5.9%増加し、前年同月の97万件からは10.3%増加した。現在の販売ペースで換算すると在庫は2.9か月分となり、前月の3.0か月分からはわずかに減少したが、前年同月の2.6か月分からは増加した。4.5か月分から6か月分が適切な住宅在庫であると考えられているため、依然として低い水準であるといえる。
全米リアルター協会のチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏はリリースで、「住宅の追加供給は、市場の需要を満たすのに役立っている」と説明。一方で、「住宅価格を安定させ、より多くの米国人が次の住居に移るためには、より多くの供給が必要であることは明らかだ」と言及。住宅供給が不足していることを指摘した。
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