池田住建企画は3月、同社としては初めて、機械設備を使わずに自然な空気の流れで家全体の換気を行うパッシブ換気システムを導入した住宅を千曲市内に完成させた。物価の上昇やエネルギー価格の高騰などが生活者の暮らしを直撃するなか、同社代表の池田安信さんは、「より快適で健康的な居住空間を、できるだけ経済的(省エネ)に実現したい」と語る。同社では今後、断熱等級6超や耐震等級3などとあわせて、パッシブ換気も標準仕様にしていきたい考えだ。5月には長野市内で導入2例目となる住宅が完成予定で、4月中に県内外の工務店関係者らによる現場視察が計画されているという。
千曲市に完成した住宅は、木造2階建ての延べ床面積31坪。30代の夫婦と子ども2人の4人家族が暮らす。総工事費は約3300万円。UA値は0.28W/㎡Kで断熱等級6(4地域)を上回り、気密はC値0.1㎠/㎡、耐震性能は許容応力度計算による等級3で、いずれも同社が標準とする仕様(性能)だ。認定長期優良住宅で、長野県が性能や県産材活用など一定の基準をクリアし、パッシブデザインに配慮した住宅建設を支援する「信州健康ゼロエネ住宅」の補助金150万円を活用した。
断熱は、壁が発泡硬質ウレタンフォーム90㎜厚の充填で、屋根断熱も同270㎜厚。基礎断熱は、土間下にスタイロフォーム100㎜厚を敷き込んだうえで、立ち上がり内側に同100㎜厚、折り返し(スカート)910㎜幅に同50㎜厚を張った。窓はLIXILの樹脂サッシ・トリプルガラスのEW。床下エアコンで暖房し、LDKから2階に上がっていく階段の突き当たりに設置した壁掛けエアコンで冷房する。オール電化住宅で、6.4kWの太陽光発電設備を搭載。月々の電気代について池田さんは「平均で1万2000円程度」と説明する。
北海道発の換気システム
省エネ・ローメンテ・静音が決め手
初めて採用したパッシブ換気は・・・
この記事は新建ハウジング4月20日号2面(2024年4月20日発行)に掲載しています。
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