技能実習に代わる外国人材の受け入れ制度「育成就労」を創設する入管難民法などの改正案は16日の衆院本会議で、岸田文雄首相が出席して趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。熟練していない外国人を3年間で一定の技能が必要な「特定技能1号」の水準に引き上げ、国内で深刻化する人手不足の解消につなげる。
首相は「わが国が(外国人から)選ばれる国になるよう、必要な方策を講じる」と強調した。自民党の笹川博義氏への答弁。
外国人を受け入れる分野を「特定技能」と一致させ、技能や日本語能力の試験合格を条件に、最長5年働ける「1号」への移行を認める。熟練労働者が対象の「2号」を取得した場合、事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能となる。
技能実習は、途上国の外国人に技能を習得させる「国際貢献」を目的としたが、実態は安価な労働力としての利用が横行。実習生が本人の意向で職場を変える「転籍」を原則として認めておらず、「人権侵害の温床」と批判されてきた。
育成就労は転籍制限を緩和し、就労後「1~2年」で同じ職種に限って容認する。
改正案は、永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合、永住許可を取り消すことができる規定を新設した。育成就労の創設によって長期にわたり日本で暮らす外国人の増加が見込まれるため、自民党が制度の見直しを求めていた。
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