野原グループ(東京都新宿区)はこのほど、建設現場の「施工管理(工程、安全、品質、原価などの工事に関わる様々な業務の管理)」に従事する現場監督・所長(現場代理人)307人を対象とした「建設の2024年問題と現場の業務デジタル化の意識調査」の結果を発表した。同調査結果は、1月に実施した「建設業界従事者1000人への独自調査」の結果から、対象者を現場監督・所長(現場代理人)に絞ったもの。
『建設2024年問題で悪化すると思うこと』を聞いたところ、1位は「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」(40.0%)だった。2位は「ますます若手入社希望者が減少する」(30.5%)、3位は「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る」(27.3%)となった。
『建設現場における自身や現場関係者の痛み』を聞いたところ、「週末にも働く(納期厳守や、工程管理が厳しくて休めない)」(59.0%)が突出して1位となった。以下、「前後の工程の都合での手待ち」(41.0%)、「新築の竣工前の変更や手戻り」(40.4%)、「一日の中で実作業時間が足りない、作業効率が悪い」(39.4%)と続いた。
『建設業界で改善して欲しいこと』を年代別で見ると、いずれの年代においても、「給与水準のアップ」と「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正」がトップ2となった。また、20代と30代では「デジタルツールを駆使した業務効率化」が3位となった。
『建設業界で最も深刻と思われる課題』の1位~3位を聞いたところ、1位「人手不足」(65.1%)、2位「高齢化による技術承継」(46.6%)、3位「労働時間が長い・年間休日が少ない」(33.6%)」との結果となった。2023年調査結果と比べると、1、2位の順位は同じだが割合が増加しており、課題が深刻化していることが伺える。また、「労働時間が長い・年間休日が少ない」は、2023年調査結果ではランクインしていなかったが、今回は3位となった。
『デジタル化未対応による仕事の不安』があるか聞いたところ、64.2%が「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るのでは、という不安がある」と回答した。
『デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れている業務プロセス』としては、1位の「施工・専門工事」(47.2%)は2023年調査結果よりも6ポイント上昇、2位の「施工管理」(33.2%)は1.7ポイント上昇した。
『使いこなすことができればよいと思うデジタル技術』としては、1位「BIM」(23.5%)、2位「施工管理ツール」(20.5%)」となった。この2つは、他のツールに比べて突出して数値が高かった。なお、「実際にBIM活用している」と回答した割合は34.5%だった。年代別に「実際にBIMを活用している」割合を見ると、30代が70.6%と最多、次いで20代の43.8%となった。
建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指す、『建設2024年問題』の認知を調査したところ、「詳しく把握している」と回答したのは43.3%。業界人1000人に比べて5.6ポイント多かった。年代別に見てみると、30代が「詳しく把握している」(64.7%)との回答が最も多く、20代では「聞いたことがない・知らない」(18.8%)と回答する人が多かった。
調査期間は、1月15日~1月22日。調査対象者は、全国の20~70代の現場監督・所長。
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