住宅生産団体連合会(住団連、東京都千代田区)は4月2日、住宅生産者の働き方を改善し、住宅業界の活力を維持するための施策をまとめた「住宅工事現場における技能者の働き方改革ガイドライン」(PDF)を更新し、公表した。
このガイドラインでは、①労働条件・労働環境の整備による若年層に向けた入職促進、②女性技能者、高年齢技能者、外国人技能者など多様な人材の活躍推進、③建設キャリアアップシステム(CCUS)への取り組み、④快適な現場環境の整備による生産性向上、⑤元請と下請の共存共栄に向けた考え方―など、働き方改革に向けた具体的な方針を示している。
①「労働条件・労働環境の整備」では、住宅工事現場を魅力的なものにするため、「4S」(整理、整頓、清掃、清潔)が行き届いた現場環境の構築、「3K」から「新3K」(給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる)への移行を目指す。他に、適正な賃金・雇用体系の確立、技能者の処遇改善、指導者の育成を重要項目として挙げた。自社内だけでの教育だけではなく、必要に応じて職業訓練校や、都道府県が実施している職業訓練指導員講習を利用することも推奨している。
②「多様な人材の活躍推進」では、女性技能者が働きやすい環境整備に向けて、女性用仮設トイレ・更衣室の設置、子育て世帯に配慮したフレキシブルな作業環境を整える必要があるとした。高年齢技能者の活躍に向けては、▽高年齢者が苦手とする機械・作業方法の改善▽高年齢技能者の体力に応じた新しい作業や職種の創設▽定期的な体力チェック・健康診断の実施▽幅の広い足場の採用など安全対策の徹底▽パワーアシストスーツや軽量電動工具など作業負荷軽減策の取り入れ―などが有効だとした。
③「建設キャリアアップシステム(CCUS)」については、住宅業界においても旧技能実習、特定技能で外国人を雇用する際に登録が必須となっている。その一方で、同システムが住宅工事に携わる事業者や技能者にとってメリットが感じられない、住宅業界にも資するシステムとなるよう、引き続き国交省や建設業振興基金に改善を求めていく。
④「快適な現場環境の整備による生産性向上」では、作業効率化を図るための対策として、▽作業の分担化▽現場管理ツール(工程管理アプリ)の活用▽技能者の多能工化▽プレハブ、プレカット化▽作業手順の明確化―などを図る。
⑤「元請と下請の共存共栄」に向けては、元請企業が下請企業に対して一方的に働き方改革の実施を押し付けるのではなく、互いに適正な取引関係を構築し、協議しながら実施可能な形にして行くことが重要であるとしている。
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