国土交通省は、地方自治体が発注する公共工事の実施時期が年度末に集中するのを防ぐため、新たな指標を作成する方針を固めた。2024年度から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことを踏まえ、繁忙期を分散することで、働き方改革につなげる狙いだ。
公共工事は一般的に、年度末に工事が集中し、新年度の4~6月は業務量が少なくなる傾向にある。背景には、予算を年度内に使い切る単年度主義の影響が指摘されており、同省はこれまでも是正に向けて、予算を繰り越して使える手続きを推奨するなどしてきた。
さらに、年度当初の閑散期の状況をチェックする指標も作成し、18年度分から全国の自治体の状況を公開してきた。
具体的には、4~6月における月当たりの平均工事件数を、年間の月当たり工事件数で割った値を「平準化率」と定義。この値は1.0に近いほど繁閑差が少ないことを示している。22年度の各都道府県発注工事の平均平準化率は0.80。最も1.0に近いのは岐阜県の0.93だった。
ただ、この指標では年度末にどの程度の工事が集中しているかは分かりにくい。このため同省は、繁忙期の月当たり平均工事件数を年間の月当たり工事件数で割るといった形の、新たな指標の導入を検討することにした。
新たな指標は、24年度中に各自治体に示す方針。繁忙期の対象を「12~3月」とするか「1~3月」にするかなどを今後詰める。各自治体には現行の平準化率だけでなく、新たな指標も1.0に近づくように工夫してもらい、公共工事が年間を通じてなるべく均等に実施されるよう目指す。
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