天然乾燥による地元材と墨付け・刻みの伝統的な技術にこだわり、若い大工を育てながら、デザインや性能などトータルで質の高い住宅を追求し続ける―。橋本工務店社長の橋本繁雄さんは、そんな家づくりと工務店経営のあり方を目指す。橋本さんは「リスペクトできる力のある地域工務店がひしめくこの浜松で、互いに学び合いながら、技術力の高い大工やストック活用も含めたより良い住まいを広げていけたら」と理想を描く。
同社の家づくりでは、土台のヒノキや柱・梁のスギといった構造材をはじめ、ほぼ100%、天然乾燥した地元産の「天竜材」を用いる。天然乾燥材のポテンシャルや魅力を最大限に引き出すためには、木の素性や適材適所の見極め、継手、仕口の刻み加工などを高い精度で行うことができる大工の存在が不可欠だ。
同社には現在、30代1人、20代4人の5人の社員大工が在籍。橋本さんは、技術力だけでなく、現代にフィットする働き方とのバランスも踏まえつつ、「自ら考えて、自ら動ける大工」の育成を目指す。そのために導入しているのが、人工管理を大工が自ら行う仕組みだ。現場をメインで担当する大工(棟梁)が、契約金額をもとに、その現場の大工の人工を正確に把握し、自らの裁量で決められた日数のなかで工事を完了させる。
毎月初めに「大工会議」開催
大工の責任を大きくする一方で、フォローの体制も構築。毎月初めに、橋本さんと大工全員が参加する「大工会議」を開催し、各現場の進み具合を共有する。橋本さんは「加工場での墨付け、刻みから現場で造作が終わるまでの間で、作業が滞っているとしたら何がネックになっているかを相談し、みんなで解決策を考える場」と説明する。
また・・・
この記事は新建ハウジング4月10日号8・9面(2024年4月10日発行)に掲載しています。
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