松尾和也さん流エコハウス設計メソッドを毎月10日号でお届けする本連載。今回は、UA値と南面からの日射取得、どちらを優先することが正しいのか、計算しながら考えます。
太平洋側や瀬戸内のような6地域の1日で、南面に当たる日射量はガラス外面において、雨や曇りの日も織り込んだうえで平均するとおおよそ3300Whくらいです(この値はソフトから取っています)。
樹脂窓の日射取得型の日射取得率を47%とすると、冬場、室内に入ってくる日射による熱量は、1日の平均で窓面積1㎡につき3300Wh×0.47=1551Whとなります。
同時に、内外温度差による熱損失もあります。太陽が出ている時間帯は冬において、だいたい朝7時から17時までの10時間です。この間の平均外気温度を7℃とすると、10時間の窓1㎡あたりの熱損失は1.35W/㎡K×(20-7)K×10h=175.5Whとなります(1.35W/㎡Kは窓の熱貫流率、20は室温20℃)。この差し引きが、太陽が出ている時間での正味での窓1㎡における熱収支であり、その値は1375.5Wにもなります。
逆に、日が落ちている時間は14時間あります。その間の外気温を3℃とすると、夜間の損失は1.35W/㎡K×(20-3)K×14h=321.3Whとなります。最終的に冬場における24時間での平均収支は1054.2Wの取得となります。
なお、この窓がついている住宅の延べ床面積が32坪、外皮面積が300㎡であると仮定します。外張断熱が行われている住宅で外壁の熱貫流率が0.25W/㎡Kだとすると、外壁だと0.25/300=0.00083 、窓だと1.35/300=0.0045 となり、外壁が窓に1㎡置き換わるごとにUA値はおよそ0.0038悪化することになります。仮に16520(3.3㎡)の掃き出し窓を一カ所増やすと、UA値が0.01悪化することになります。
しかし、1日の熱収支で見ると・・・
この記事は新建ハウジング4月10日号7面(2024年4月10日発行)に掲載しています。
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