住友林業(東京都千代田区)は4月3日、木被覆(もくひふく)の角形鋼管柱(かくがたこうかんはしら)について、1時間耐火構造の国土交通大臣認定を3月26日に取得したと発表した。
同社によると、角形鋼管柱が木材のみの被覆で耐火性能を達成したのは国内初という。燃え方が違うカラマツ材とスギ材の二層構成により、カラマツ材の燃え止まり効果を高めた。従来の耐火部材は、石膏ボードなどの無機材料を併用して燃え止まり性能を担保していたが、同部材は木材のみの被覆のため、炭素固定量が大きく増加。部材製造時のGHG(温室効果ガス)排出量減少により、環境負荷低減に貢献する。
同部材では、二次接着仕様と被覆留付仕様を開発。先行開発した二次接着仕様では、鋼材周囲で木被覆材同士を接着させる必要があり、鉄骨工場で製造した鋼材を集成材工場経由で納品しなければならないため、運搬費のコストアップや工程の長期化が課題となっていた。一方、被覆留付仕様は木被覆材をL形に分割製造して直接現場に搬入するため、現場での組み立てが可能。鉄骨建方工事や床スラブ打設終了後に、木被覆材を取り付けられるため、コスト削減とともに柱汚れや傷防止につながるという。
脱炭素社会の実現に向け木材に注目が集まるなか、建築分野では2021年に都市の木造化推進法が施行され、建築物全般で木材の利用が促進されている。中大規模建築において木材利用の事例も増えており、木被覆した耐火鉄骨柱・梁のニーズは高まっている。今後、構造設計がしやすく汎用性の高い角形鋼管の耐火部材を非住宅建築物に積極的に採用し、木材利用を促進する。さらに、木被覆鉄骨部材の1.5時間耐火構造の大臣認定取得を目指し、鉄骨造やRC造の木質化に貢献するとした。
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