厚生労働省は3月26日、「技能検定職種の統廃合等に関する検討会」の結果を報告し、受検者数が基準を下回っていた「枠組壁建築」と「機械木工」の技能検定について、今後も継続することを発表した。建築大工などの潜在的な受検希望者が一定数あること、業界団体から継続を望む声が上がっていることなどを理由としている。現在、枠組壁建築検定は隔年で、機械木工は3年ごとに実施している。
枠組壁建築は、木材の枠組みや合板を組み立て、壁や床、屋根を建築する作業で、1981年に検定職種が新設された。開始当初は年間1000人を超える受検者があったものの、1990年以降に大きく減少。2021年度には68人となり、その後も6年間の平均が50人を下回っている。
枠組壁建築職種受検申請者数の推移(検討会報告書より抜粋)
こうした状況を鑑み、関係業界団体へのヒアリングを実施したところ、枠組壁建築技能士の活用により施工品質を確保していること、住宅会社で報酬査定に活用していることなどが明らかとなった。さらに技能検定が廃止された場合に、▽外国人技能者の特定技能2号、建設キャリアアップシステムのレベル4へのパスが狭くなる▽ベテラン技能士に喪失感を与える▽若手フレーマーの確保・育成の弊害となる―ことなどが懸念されている。
そこで厚労省は、受検者は基準の50人を下回っているものの、建築大工など潜在的な受検申請者は多いと判断。業界団体に対して、①資格取得対象となり得る職人の数や技能士資格の取得率、不合格者を把握すること、②潜在的な受検申請者に受検勧奨を行うこと、③受検予定者への事前講習の参加勧奨や事前講習の充実を行うこと、④所属企業への支援の仕組みを検討し導入を促すこと、⑤技能士資格取得者に毎月資格手当を支給している事例や、在留資格「特定技能」の外国人技能者が受検している事例などを周知すること―などを継続の条件に挙げている。
次回試験となる2025年度の受検申請者数が188人を下回った場合には、3年ごとの実施や職種廃止を念頭に、再度検討が行われる予定となっている。
塗料調色も次回検討職種に
同検討会では、過去6年間の年間平均受検者数が100人以下の技能検定職種を対象に、統廃合や検定試験の間隔延長を検討。目安として、定める期間内に100人以上の受検者があれば毎年、50人以上は隔年、30人以上は3年ごとの実施を認めている。直近の調査では、6年間の受検者数の平均が100人を下回る職種は11あり、建設関連では枠組壁建築と機械木工の他に、塗料調色(毎年)、ウェルポイント施工(3年)、エーエルシーパネル施工(3年)の受検者が減少している。このうち塗料調色の受検者が6年連続で100人を下回っていることから、次回の検討職種として上がっている。
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