建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会は3月28日、第11回総会を開催した。事業者・技能者登録数が一定の進捗を見せているものの地域や職種、資本金規模で登録率に差が生じている状況や、2023年度の就業履歴登録数の課題を受け、2024年度は継続して事業者・技能者の登録促進しつつ、就業履歴蓄積数のさらなる増加など取り組んでいく。
協議会会長を務める国土交通省不動産・建設産業局の塩見英之局長は開会のあいさつで「就業履歴の登録者数が十分に伸びているとはいえず、能力評価を受けた技能者も9万人にとどまっている」と課題を指摘。「産業間での人材獲得競争が激しくなっていくと考えれば取り組みを一層推進し、技能者の処遇改善を進めていくことが必須。経験や技能を客観的に評価できる建設キャリアアップシステムが、処遇改善の中核になる」として、さらなる推進策の必要性を訴えた。
23年度の登録数は技能者26.4万人、事業者2.5万社。目標は達成したものの、地方や、技能者の職種別では大工などの登録率が低くなっている。就業履歴登録数は5448万件で、目標の9割にとどまる見通し。就業履歴を蓄積していない元請事業者のうち、資本金1000万~5000万円の事業者が65%を占めており、資本金規模による差が大きい。
24年度は、現状の課題を踏まえた5つの重点項目を設定し、技能者登録10万人、事業者登録1万社(更新2.7万社)、就業履歴数7800万件を目標に取り組む。技能者・事業者登録は、地方や二次請け以下、設備・住宅関係などに重点化した働きかけや登録サポートを強化し、認定アドバイザーを活用したワンストップサポートなど利用者の負担軽減を図る。
また、就業履歴の蓄積促進など現場利用を推進する施策としては、カードリーダー本体に履歴を一時的に蓄積するロギング機能、iPhoneのカードリーダー化などで、小規模現場における活用を支援する。就業履歴蓄積の実績がない事業者には、カードリーダーの無償貸与を含む現場運用までのサポート事業も実施するとした。
さらに、レベルや保有資格、就業履歴を一元表示できるスマートフォンアプリの実装や、発注者・生活者からの認知度向上による受注機会の拡大など、CCUSの魅力を高める施策も実行する。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。