先月号(2月29日号)は、ドイツの旅大工クリスが日本で修業した回想録だった。今回は、現在、日本を遍歴中の家具職人ロビン・ミラー(ロビン)の飛騨高山での交流の様子を紹介したい。
私は2019年よりNPO法人環境共棲住宅「地球の会」とともに、中欧ドイツ語圏の旅大工の日本における修業をサポートしているが、ときどき、大工ではなく家具・建具職人からの問い合わせもある。ドイツでは、家の骨格を担当する大工と建具を担当する家具・建具職人で、棲み分けがあり、教育・資格も別々である。
日本の伝統的な大工は、建具の仕事も一緒に請け負うことがよくあるので、地球の会でも、そのような工務店にドイツの遍歴家具職人を受け入れてもらったことがある。
しかし今回のロビンは、日本の精巧な木工の技術を、家具建具や木工の伝統的な工房で短期間研修しながら学びたい、という希望だった。彼はデュッセルドルフ出身。日本企業がたくさん集まるヨーロッパのなかの日本経済の拠点で、日本庭園やジャパンフェスティバルもあり、日本の文化の中心地でもある。
日本の文化を知っている彼が求めているレベルのものを地球の会の工務店で提供するのは難しい、と思ったので、私は同会に了解を取った上で、私が以前からネットワークがある日本の木工の聖地・飛騨高山の業界関係者に問い合わせた。
勢いそのまま日本へ
ロビンからの最初の問い合わせメールは1月半ばだった。すでにそのとき、彼は日本行きの飛行機のチケットを取っていた・・・
この記事は新建ハウジング3月30日号7面(2024年3月30日発行)に掲載しています。
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