新建ハウジング主催の「シン・リノベ塾」では3月3~4日、カリキュラムの一環として京都府内の名建築視察ツアーを行った。国宝である千利休作の茶室「待庵」がある妙喜庵や桂離宮などの歴史的な建築物、京都市内に現存する京町屋「京都生活工藝館無名舎 吉田家」「くろちく『八竹庵』」を、塾長・大橋利紀さん(livearth[リヴアース]社長)の解説を受けながら見学した。
同塾では、大橋さん独自のメソッド「本質改善型リフォーム」を学び、自社なりの方法で性能向上リフォームの事業化を目指す。
視察のスタートにあたり、大橋さんは「光と影と素材感に着目して体験してほしい」と塾生に話し、「そして、実践者(経営者・設計者)でもあるので、自社の建築でどう表現していくかを考えることも重要」と伝えた。1日目は、妙喜庵および待庵と桂離宮を見学。初めて窓を設けた茶室と言われている待庵では、窓の配置や大きさの妙、地元の竹、壁の下地に使われている淀川のヨシなどの素材感を味わった。桂離宮では、最も格の高い茅葺きの入母屋づくりの茶室・松琴亭で、現在でも通じるデザイン性を持つ北側のかまどの構えや襖の市松模様などに見入った。
2日目は、京町屋を中心に見学。吉田家は、京都盆地の猛暑を考慮し、中庭と奥庭で空気を循環させる配置が特徴だ。また、中庭側から奥庭を眺めると、採光加減により光と影のコントラストを感じることができる。八竹庵は和洋折衷の町屋建築。京都の伝統的な大塀造で、洋間にはフランク・ロイド・ライトの建築様式を採用。茶室や和室部分は数寄屋建築の名工・上坂浅次郎が設計参与する。和と洋の意匠が融合し、大正時代技工と流行が散りばめられた意匠を見学した。
視察に参加した塾生からは、「最上級の名建築を知る・体感することで、施主への提案も具体性を増す。また、さまざまな視点を持つ工務店経営者と視察したことで得るものもあった」「これまでに住宅に取り入れていた要素を、さらに深い視点から解釈するための気づきを得た」などの意見があった。同塾は、24年秋には第3期を開講予定。
この記事は新建ハウジング3月30日号3面(2024年3月30日発行)に掲載しています。
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