温暖と言われる鹿児島でパッシブハウスをつくりたい―PASSIVE STYLE(鹿児島県鹿児島市)の社長・馬場龍仁さんの創業時からの願いが、昨年ようやく叶った。パッシブハウスの認定取得上は不利になる、普段の「冬に特化した」設計は大きく変えず、気候条件を考慮した工夫で鹿児島県初の認定を取得。また、地元テレビ局に働きかけて断熱性の重要性を発信するなど、普及・啓発活動にも力を注いでいる。
同社初のパッシブハウス認定取得住宅・Y邸は2023年4月に完成した。約31坪の平屋建て(ロフト付き)で、UA値 は0.19W/㎡K。施主が選んだ敷地が、造成に約1年間を要する土地だったため、その時間をパッシブハウスを達成するための検討に当てた。
馬場さんの設計は、暖房負荷を極限まで減らす「冬特化型」。南面に大開口を設け、サッシも日射取得率の高いスマートウィン「佐藤の窓」(木製サッシ・日射取得型トリプルガラス)を使用することで、冬でも無暖房の室温は30℃近くまで上昇する。ただ、パッシブハウス認定を取得するためには冷房負荷も抑えなくてはならず、馬場さんの普段の手法では不利な点も多い。Y邸はさらに平屋、屋根断熱と不利な条件がそろっている。
しかし、馬場さんはあえて仕様を変えたりはしなかった。その理由は・・・
この記事は新建ハウジング3月30日号2面(2024年3月30日発行)に掲載しています。
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