国土交通省が3月26日に公表した2024年1月1日時点の公示地価は、全国の全用途平均で2.3%上昇した。3年連続の上昇で、上昇率も前年の1.6%から拡大。景気が緩やかに回復する中で三大都市圏、地方圏ともに地価の上昇が続き、上昇基調を強めている。
今回の調査地点は2万6000カ所で、うち1万6660カ所(65%)が上昇。住宅地は2.0%上昇し、3年連続で上昇した。都市中心部や利便性・住環境の優れた地域では住宅需要が堅調で、地価の上昇が継続。また、三大都市圏や地方4市では、地価上昇の範囲が割安感のある周辺部にも拡大。首都圏では、千葉県柏市、我孫子市で10%以上の上昇が見られた。仙台市と生活圏を同じくする宮城県富谷市の南部でも10%を超える上昇率が継続している。
また、外国人からも人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムの需要増が影響して高い上昇率を記録した地点も見られた。北海道富良野市では27.9%(住宅地では上昇率全国1位)、長野県白馬村では19.5 %上昇した地点があった。
商業地は3.1%の上昇。都市部を中心とする店舗需要の回復やオフィス需要の底堅い推移に加え、観光地や繁華街でのインバウンド需要も大幅な回復を後押ししている。
また、熊本県の菊陽町・大津町・合志市、北海道千歳市など、大手半導体メーカーの工場が進出するエリアでは、従業員向けの住宅用地や関連企業の事務所用地の需要が増大し、住宅地、商業地ともに高い上昇率となった。
一方、地方圏のその他のエリアでは、上昇した地点が41.3%に対し、下落した地点が39.8%と拮抗。今回の調査結果には令和6年能登半島地震の影響は反映されていないが、石川県の珠洲市や羽咋市では人口減少、過疎化の進行に加え、2022年6月、23年5月の地震の影響も重なり、住宅地の下落率が大きくなった。
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