中小企業庁は3月8日、各事業者団体に対して「不当な下請代金の減額の防止について」と題した要請を行った。7日に公正取引委員会が日産自動車に対して行った「下請代金の減額の禁止」違反に関する勧告を受けて実施したもの。
日産自動車は、タイヤホイールやエンジン内部部品などの下請け業者36社に対して、下請代金額から「割戻金」を差し引くことにより、下請代金を数%減らしていた。コスト削減目的で調達担当部門が行っていたもので、総額約30億2367万円に上る。勧告では、下請法の遵守体制を整備することなどを求めている。
事業者団体に向けた要請では、理由なく親事業者が下請事業者に対して支払う下請代金の額を減じて支払うことは、下請法の規定に違反するものであると明示。価格転嫁をはじめとする取引の適正化をサプライチェーン全体で進めている中で発生した同事案について、遺憾の意を示している。その上で団体会員企業に対し、下請法に違反する行為の未然防止に努めるよう要請。「取引適正化に資する取組を一層推進してほしい」と呼び掛けている。
京セラなど10社も「優越的地位乱用」の疑い
公正取引委員会は15日にも、「コスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」(23年12月27日実施)の結果として、ダイハツ工業や京セラなど10社を独占禁止法上の「優越的地位の濫用」の疑いがあるとして公表。これらの会社は取引企業との間で、人件費や原材料費などコスト上昇分の価格転嫁について協議せず、取引価格を据え置いたとして、多くの受注者から名前が挙がっていた。他に、イオンディライト、SBSフレック、西濃運輸、ソーシン、東邦薬品、日本梱包運輸倉庫、PALTAC、三菱ふそうトラック・バスの名も上がっている。
公正取引委員会は取引の公正化をより一層推進する観点から、適正な価格転嫁の実現に向けた取組を進め、独占禁止法や下請法に違反する事案については厳正に対処するとしている。
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