政府は15日の閣議で、外国人技能実習制度を廃止して「育成就労」制度を創設する入管難民法などの改正案を決定した。未熟練労働者として受け入れた外国人を一定の技能が必要な「特定技能1号」の水準に引き上げ、中長期的な在留につなげる。政府は改正案を今国会に提出し、成立すれば2027年にも新制度が始まる見通しだ。
経過措置として、新制度の開始前に来日した技能実習生は3年の実習期間を終えるまで在留を認める。
新制度は国内の深刻な労働力不足を踏まえ、「人材確保」を目的に据えた。受け入れる対象分野を特定技能とそろえ、円滑な移行を促す。育成期間は3年間で、技能や日本語能力の試験に合格すれば最長5年働くことができる「特定技能1号」への移行を認める。熟練労働者向けの「特定技能2号」を取得すれば事実上無期限の在留や家族の帯同も可能となる。
現行制度で認めていない職場を変える「転籍」は、一定の条件を満たせば可能とした。政府は最長2年の範囲で、分野ごとに転籍制限の期間を設定する。悪質な転籍ブローカーを排除するため、「不法就労助長罪」の法定刑を「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」に引き上げる。
外国人の受け入れや勤務先の指導を担う「監理団体」は「監理支援機関」に名称を変更し、外部監査人の設置を義務付ける。企業などと密接な関係がある役職員の関与を制限し、独立性・中立性を高める。転籍支援などを担う「外国人育成就労機構」の創設も盛り込んだ。
長期的に日本で暮らす外国人の増加を見据えて、永住者が故意に税や社会保険料の納付などを怠った場合に永住許可を取り消す規定も新設。中長期に滞在する外国人に携帯を義務付けている「在留カード」はマイナンバーカードと一体化する。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。