国土交通省は、雪下ろし中の高齢者の事故を防ぐため、デジタルを駆使した対策に乗り出す。家屋の除雪危険度を一軒一軒「見える化」するシステムの開発を検討。屋根の雪の重さと築年数などを基に、雪下ろしの危険度の推計を目指し、除雪する際はロボットなどを導入して事故対策につなげてもらう狙いだ。
同省は防災科学技術研究所(茨城県つくば市)と協定を締結。数年以内に実現したい考えだ。
同研究所では、積もった雪の重量を推計し、除雪の際の危険度を地図上で1キロ四方のメッシュで色分けして示す「雪おろシグナル」をホームページで公開している。
新システムはこれに加え、自治体が持つ各住戸の築年数データや屋根の形状、角度などの詳細情報を反映。家ごとの除雪危険度が分かる仕組みを想定している。
開発したシステムは自治体へ提供。対策が必要な地域や世帯を明確にする。これと並行して同省と同研究所は、ロボットやドローンを使って屋根に上らず雪下ろしができる自動化技術の開発・導入を自治体に促す。
豪雪地帯対策特別措置法では、現在全国532市町村が豪雪地帯に指定されている。同省はこれらの地域の除雪対策を支援する自治体向けの交付金を用意しているが、資機材の購入や講習会の開催費に使われることが多い。そこで同省は、自動ロボットや屋根の雪を滑りやすくする塗布剤といった技術開発も対象となる点を周知する。
豪雪地帯では、業者の人手不足から高齢者が自力で雪下ろしをしようと屋根に上り、転落する事例が多い。2022年度、雪下ろしなどの作業中に亡くなった人は全国で49人で、うち65歳以上は約8割の39人だった。
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