静岡県は2月21日、藤枝市に本店を置く屋根修繕工事業者のフジ工務店に対し、8月21日までの6カ月間、訪問販売業務の一部業務停止命令と、代表者に対する業務禁止命令を行った。同社は消費者宅を訪問し、屋根の点検などにより屋根瓦のズレを指摘するなど、必要のない修理工事の勧誘を繰り返していたという。
静岡県によると、同社は勧誘に先立って消費者宅を訪問する際に、「近くで工事をやっていたら瓦が浮いているように見えた」「近所で工事に入る予定で、工事車両が出入りしてうるさくなるので挨拶に来た」などと告げ、本来の勧誘の目的を明らかにしていなかった。さらに屋根を点検した後、「瓦の漆喰がボロボロで、瓦を固定している針金がグラグラしている。このままだと雨漏りで屋根が腐る」などと消費者に告げ、あたかも工事をしなければ雨漏りがするかのような内容を告げていた。
また、法的に電子メールなどによるクーリング・オフ通知が可能となっているにもかかわらず、契約書に「クーリング・オフにおける書面、文書は特定商取引法の解釈上、電子メールではなく、紙媒体の書面によるものでなければならない」と記載。他にも、契約書を発行しなかったり、契約書に偽名や名字のみを記載したり、雨水が抜ける溝をシリコンで塞ぐ、漆喰の代わりにセメントで固定するなどの悪質な行為もあったという。
こうした行為が特定商取引法に違反するとして、同社の訪問販売に関する業務のうち、契約の締結についての勧誘、申し込みの受領、契約の締結について業務停止を命令。違反行為と判断された、▽勧誘目的の明示義務に違反する行為▽契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為▽契約の締結を必要とする事情に関する不実告知――について発生原因を検証して報告すること、違反行為の再発防止に向けた社内のコンプライアンス体制を構築して報告することを指示した。代表者である門倉輝氏に対しては、契約の締結についての勧誘、申し込みの受領、契約の締結を禁止する命令を実施している。
特定商取引法では、訪問販売を行う事業者に対し、①勧誘に先立って消費者に「事業者の氏名」「契約の締結について勧誘をする目的であること」「販売しようとする商品」を告げること、②消費者が契約締結の意思がないことを示した場合に勧誘を継続しないこと、③契約書に「商品の種類」「販売価格」「クーリング・オフに関する事項」「事業者の氏名・住所・電話番号・代表者の氏名」などを記載すること――などを規定。事実と違う内容を告げたり、事実と違う内容を告げたり、申し込みの撤回を妨げるために威迫することなどを禁じている。
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