奇抜ではなく、かといって凡庸でもない造形美を備え、住まい手が暮らすほどに愛着を深めていく―。そんな住まいを手がけるのは、アーキデイトデザイン(愛知県名古屋市)代表で一級建築士の出口拓耶さん(34歳)と、顧客対応からプラン・設計、現場管理までマルチにこなす齊藤愛未さん(27歳)の2人だ。設計力を生かしたシンプルで洗練されたデザインを特徴とする一方で、施主や協力業者・職人など“人”にフォーカスするスタイルが同社の家づくりの核になっている。
出口さんが父母が営む同社に入って4年。新築受注を年間上限5棟と定め、HEAT20・G1以上、C値0.5㎠/㎡以下、耐震等級3(許容応力度計算)の住宅を外構も含めて3500万~4000万円の価格帯で安定的に供給する。設計・施工に加えて、不動産事業もワンストップで展開。「ミニマルが住まい手を輝かせる」をコンセプトに無駄を削ぎ落としたシンプルで洗練されたデザインが大きな特徴で、1年半ほど先の着工枠まで予約で埋まる状態が続く人気工務店となっている。
出口さんは、福井大学の建築・都市環境工学科で建築を学び、卒業後は名古屋市内の中堅ゼネコンに就職。工事費が数億円を超える規模の公共建築などの現場で、施工管理のノウハウを吸収した。その後、東京都内の専門学校で「設計の学び直し」に取り組んでいた時に、建築家の大塚泰子さんと知り合い、大塚さんが代表を務めるノアノア空間工房(東京都港区)に入社。大塚さんのもとで、実務を通じて徹底的に建築に向き合った。
出口さんは、都内の狭小住宅に数多く携わるなかで「こんな条件が限られた小さな敷地で、こんなにも伸びやかな空間をつくることができるのか」と驚きながら、大塚さんのメソッドを学んだ。「目を輝かせてワクワクしながらプランを練り込んでいく建築の本質的な面白さ」も知った。一方で・・・
この記事は新建ハウジング3月20日号9面(2024年3月20日発行)に掲載しています。
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